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生殖補助医療技術 ARTって何?

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Q1. ART治療はどういう治療ですか?(定義)

 体内での妊娠の成立過程(図1)では、卵巣から排卵された卵子が卵管にピックアップされ、腟で射精された精子は卵管に到達し、卵管(体内)で卵子と精子は受精します。受精卵(胚)は卵管を移動して子宮に到達し、子宮内膜に着床して妊娠が成立します。この過程に問題が生じ、体内での受精が困難になった患者さんに対して、配偶子である卵子や精子を体外に取り出し、体外で受精させる技術をART(生殖補助医療技術、Assisted Reproductive Technology)と言います。
 1)体外受精(IVF)、2)顕微授精法(ICSI)、3)胚移植(ET)、4)ヒト卵子・胚の凍結保存ならびに凍結胚移植等の技術に対する総称です。一般不妊治療で実施される人工授精では、精子だけを取り扱う技術になるので、ARTには含まれません。

図1
図1

[用語の説明]

  1. 体外受精(IVF;In vitro fertilization):卵巣から取り出した卵子に精子を出会わせる(媒精)技術です。
  2. 顕微授精法(ICSI):IVFの媒精で受精できない場合、精子1個を卵子の中に注入する技術です。顕微授精法の中には、様々な種類がありましたが、現在では細胞質内精子注入法(ICSI;Intracytoplasmic sperm injection)が顕微授精と呼ばれています。
  3. 胚移植(ET;Embryo Transfer):子宮の中に受精卵(胚)を戻すことです。
  4. 卵子・胚の凍結保存(Cryopreservation):-196℃の液体窒素の中で卵子や胚を長期間凍結保存する技術です。

ARTの一連の流れ(図2)は、
(1)飲み薬や注射などの排卵誘発剤を用いての卵胞刺激
(2)経腟超音波下での採卵
(3)卵子・胚の体外培養
(4)採取した精液は、体外受精(媒精)や顕微授精法に使用するように調整
(5)受精:体外受精(媒精)または顕微授精法の施行
(6)受精確認を行いさらに胚を培養
(7)胚移植
(8)胚凍結保存

図2
図2

(2017年7月7日 公開)

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