ART技術の中で法的に禁止されているものは、ヒトクローン細胞の作成です(2000年、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律)。しかしながら、ヒトの細胞を取り扱うART技術に関しては法律によらない規制(法で規制すると改定に時間がかかり新しい技術の導入が遅れることとなる)が必要とのことで、日本産科婦人科学会は会告の形式で、1983年10月「体外受精・胚移植」に関する見解」を発表しました。その後、1985年3月「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解」、1988年4月「ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する見解」を発表し、現在のARTはこれらの見解に基づいて行なわれています。多胎妊娠を減らすための移植胚数の制限もこの見解によるものです(2008年4月「生殖補助医療における多胎妊娠防止」に関する見解)。1986年3月日本産科婦人科学会見解により「体外受精・胚移植の臨床実施」の「登録報告制」が発表され、それ以来ART実施施設は日本産科婦人科学会への登録が必要となりました。届出施設はARTの治療周期数の報告とともに妊娠が成立した患者さんのその後の経過(転帰)を報告しなければなりません。見解は2010年4月改訂され(生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解)、厳しい基準の下で日本のARTは施行されています。
特定不妊治療助成金制度による助成金を使用できるのは、生殖補助医療実施医療機関への登録施設です。
(2017年7月7日 公開)