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生殖補助医療技術 ARTって何?

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Q2. ARTの歴史について教えてください。

 9年間の不妊であったジョンとレズリー・ブラウン夫妻は、卵管に問題がある卵管性不妊症のため、精子と卵子が出会えない状態のカップルでした。2人は1977年11月10日に、生物学者のエドワーズ博士と腹腔鏡手術のエキスパートであったステプトー博士の元で体外受精を受け、1978年7月25日に2608gの女児を帝王切開で分娩しました。ステプトー博士が名づけ親となり、ルイーズ・ジョイと命名されました。世界初の体外受精児の誕生でした。日本では1983年東北大学医学部付属病院ではじめての体外受精児が誕生しました。
 卵管性不妊症を対象に始まったART治療でしたが、徐々に適応が拡大されました。そして、精子の数が非常に少ない男性不妊症の患者さんへの新たな受精方法として登場した技術が、顕微授精法です。顕微授精法の中で細胞質内精子注入(ICSI)による児の誕生は、1992年ベルギーの医師パレルモ博士によって行われました。
 1985年から日本産科婦人科学会では毎年ARTで生まれた子供たちを集計してきました。2019年の一年間に日本で生まれた子供たちは865,239人で、そのうち60,598人はARTで出生しました(出生児の7.0%)。1985年から2019年の35年間に日本でARTによって生まれた子供たちは710,931人(体外受精技術で生まれた子供たちは139,570人、顕微授精法で生まれた子供たちは120,931人、凍結融解胚移植で生まれた子供たちは451,114人)になりました。
 2023年で本邦のART出生児の誕生から40年になりました。ART治療は様々な原因による不妊症治療の有効な治療法としての地位を確立しました。
 2020年5月29日閣議決定で少子化社会対策大綱として、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる不妊治療(体外受精、顕微授精)に要する費用に対する助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充することが決定し、2022年4月には保険適応となりました。

(2017年7月7日 公開)

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