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生殖補助医療技術 ARTって何?

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Q8. 顕微授精法(ICSI)について教えてください。

 体外受精も顕微授精も体外に卵子を取り出すまでは同じですが、体外受精(媒精)では受精できない場合、顕微授精法が行なわれます。つまり卵子と精子の受精障害が顕微授精法の適応となります。受精障害の原因としては。①精子数が少ない場合(高度乏精子症)、精子の運動能力が低い場合(精子無力症)などが適応となります。射出精液に精子がない場合(無精子症)には、精巣上体(MESA:顕微鏡下精巣上体精子採取術、PESA:経皮的精巣上体精子採取術)や精巣(TESE:精巣内精子採取術)から直接精子を取り出して顕微授精を行ないます。精子の取り出す方法により、MESA-ICSI、TESE-ICSIと呼称を用います。(図8)
 女性側にも②受精障害が見られることがあります。卵子を包む透明帯が硬い場合や、女性の抗精子抗体強陽性の場合です。
 採卵は女性の身体に大きな負担となるため、受精の確認ができていない(妊娠歴のない)カップルでは、split ART(採取卵子を2グループに分けてIVFとICSIを同時に施行)やレスキューICSI(媒精後数時間で見られる受精兆候を確認して、受精が予期されない場合すぐにICSIを追加実施する)を行っている施設もあります。
 顕微授精法の場合は1つの卵子あたり1つの精子があれば行うことができます。
 採卵後の卵子の周りから卵丘細胞を取り外し、卵子を裸にした状態で顕微鏡で観察し、成熟した卵子(MⅡ期卵子)を確認します。成熟卵子をホールディングピペットと言われる細いガラス管で把持して、1個の精子を吸引したガラス管(インジェクションピペット)を卵細胞質内へ穿刺し、精子1個を注入します。すべての操作は倒立顕微鏡下で行ないます。顕微授精には熟練した技術が必要です。多くの施設では、胚培養士がこの技術を実施しています。

図8
図8

(2017年7月7日 公開)

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