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Q11. 胚の凍結保存について教えてください。

 体外受精治療が始められた頃には、多くの胚を子宮に戻していたため多胎妊娠、特に三つ子、四つ子といった高度の多胎妊娠がみられました。多胎妊娠では流早産の可能性が高く、それに起因した低出生体重児の増加が指摘されています。多胎妊娠を避けるため、日本産科婦人科学会では体外受精治療で子宮に戻す胚の数を3個以内(1996年)、2008年からは原則1個と提言しました。
 患者さんの中には、卵胞刺激に卵巣が良く反応して多くの胚が得られる方がいます。そのような方々では、胚を子宮に戻した後に複数個の余った胚が生じてきます。そこでこれらの胚を凍結保存し、融解胚を子宮に戻すことにより、身体的・心理的・経済的負担の軽減が期待できます。そこでARTでの余剰胚を凍結保存することが必要となり、1983年にはじめての凍結融解胚移植による妊娠・分娩が報告されました。
 現在、凍結保存法の主流となっているガラス化凍結保存法は、日本で開発された方法です。胚へのダメージが少ないため、この方法で凍結保存した胚の移植では高い妊娠成績が得られています。
 現在では胚の凍結保存の適応は拡大し、余剰胚だけではなく、重症卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防のために胚の凍結保存が行われるようになりました。また、がん患者さんの抗がん剤・放射線治療前にも胚や卵子の凍結保存を行うこともあります。

(2017年7月7日 公開)

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